暗記、記憶&記憶術用語集5 【な行~は行】
た行 な・は行(本ページ)
ま~ら行
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記憶に関する用語を、初歩的な心理学や大脳生理学など科学的な見地から解説したものです。
併せて暗記や記憶術に関する用語も加え、読み物としても楽しめるように編集しました。
ニーモニクス
mnemonics:記憶術。ニーモニクスは英語だが、語源はギリシャ神話に登場するMnemoshne(ムネモシュネ、またはニーモシュネ)という女神に由来する。ムネモシュネは、あらゆる分野の知的活動をつかさどる9人の女神たちの母であり、過去、現在、未来のすべてを記憶している女神である。「記憶術」は明治時代に作られた訳語で、一義的には古代ギリシャに由来するイメージや連想を利用した記憶法のことをいう。原口證(はらぐち あきら)
円周率の暗唱の現世界記録保持者。2004年、原口證(当時58歳)は、それまでの円周率暗唱の世界記録4万2195ケタ(後藤裕之)を大きく破る5万4000ケタを記録して、ギネスブックに登録された。さらに驚くべきことに、その翌年、8万4331ケタ達成して記録更新。もはやこれ以上は無理だろうという予想を覆して、2006年、円周率10万ケタ暗唱という、驚異を通り越した記録を達成してしまった。恐るべき還暦頭脳パワーである。原口式の円周率に特化した記憶術には、独特の方法論がある。反復練習
繰り返して練習すること。体を使って身につける技術・技能は、反復練習によってできるようになったあとも過剰学習を繰り返し、意識せずスムーズに行えるようになることが肝要である。しかし、受験勉強などでは、過度の反復練習が効果的とは限らない。インターバルを取ったり、関連することを学習するほうが効果的である。暗記物に関しては、記憶術を身につけると反復練習が少なくすみ、時間と労力が大幅に軽減される。
プライミング記憶
先入観が影響する記憶のことで、「入れ知恵記憶」というような意味。すでにある記憶があとの事柄に影響することで、勘違いもプライミング記憶の一つである。たとえば、「にんじん、こまつな、ほうれそんう」という文字の3つ目(ほうれそんう)を、「ほうれんそう」と読んでしまう例が有名である。文章の校正では、プライム記憶が間違いの発見を妨げていることが多い。フラッシュバルブ記憶
劇的な、感情を強く揺さぶられる出来事や重大事件について、時間が経ってからもそのときの状況を鮮明に記憶していることをいう。写真のフラッシュをたいたときのように、詳細かつ鮮明に記憶が残るということから、この名前がつけられた。ヘレニウム宛修辞学
記憶術を発明した古代ギリシャ人は、記憶術の方法を書いた書物を後世に残さなかった。ギリシャの記憶術が世界に広まったのは、ある無名の青年の書いた一冊の本があったからである。紀元前85年頃に書かれた「ヘレニウム宛修辞学」こそは、記憶術をラテン世界(古代ローマ)に伝える重要な本であった。この本にギリシャ人の記憶術のノウハウが正確に記されていたといわれる。扁桃体(へんとうたい)
大脳辺縁系の下のほうにある、直径1cmほどの丸い器官で、喜怒哀楽をつかさどる器官。見たり、聞いたり、臭いをかいだり、触ったり、味見したりして得た情報は、扁桃体に伝わり、そこで好き嫌いが判断されて行動が起こされる。扁桃体は記憶をつかさどる海馬とつながっており、互いに影響し合っている。好きなことには集中でき、すぐ記憶できるのはこの扁桃体の働きと考えられる。忘却
忘却とは忘れ去ることなり。これは昔のラジオ・ドラマ「君の名は」の名ナレーションだが、覚えられない悩みを持つのが普通の世の中で、忘れられない切なさを描いて大ヒットした。人間の脳は忘却するように設計されている。もしも忘れる機能が脳にないとなると、目にしたもの、聞こえたもの、感じたことのすべてが頭の中に焼きついて渦巻き、気が変になってしまうだろう。しかし、受験生や高齢者にとっては、忘却が悩みの種である。記憶術を始めてみるのも一考に値する。
保存
そのままの状態で保っておくこと。パソコンでは一時メモリーの状態にあるファイルを、「名前をつけて保存」することで、鮮度を落とさず保存することができる。脳も、海馬の一時メモリーから大脳皮質に移して保存すると長期記憶になる点は、パソコンと似ている。しかし、そのデータは正確とは限らず、長期記憶もときどきファイルを開いてやらないと、取り出せなくなる。ときには思い出せても内容が変質することもある。
●「記憶の仕組み―脳と心理学」の内容
記憶の3段階とは/機械的記憶と忘却曲線 短期記憶と4つの長期記憶|エピソード記憶と意味記憶 海馬と大脳皮質―記憶に関する働き 扁桃体(情動)と前頭前野(意欲)が記憶を左右する |
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