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記憶術の歴史/古代ギリシャ~現代

 

古代ギリシャの「シモニデスの記憶術」は江戸末期に日本に伝わり、明治に花開いた!?

 記憶術の歴史は意外に古く、古代ギリシャには今日とほぼ同じ原理の記憶術が生まれていました。そして、少なくとも明治時代には日本に伝わり、自称「創始者」が何人か生れています。しかし、その原理はギリシャ時代とまったく変わらなかったのです。

 本章は「記憶術の歴史」というマニアックなテーマで構成されています。興味のない方は素通りして次に進んでください。

★なお、「シモニデスの方法」については本ページ下段の囲み枠内に、具体的なやり方を簡単にまとめましたので、ぜひご覧下さい。 

INDEX
シモニデスの記憶術―古代ギリシャ
キケロの記憶術―古代ローマに花開いた弁論術
記憶術ルネッサンス/西洋記憶術の盛衰
体に結び付けて覚える「物覚え秘伝」は江戸時代から?
明治に花開いた記憶術の伝道者と「創始者」たち
仏教哲学者・井上円了の記憶術(元祖渡辺式?)
記憶術世界一、石原誠之とある心理学者
円周率暗唱の達人列伝 & 円周率計算の虜になった数学者

昔の人は、古事記やホメロスの長編詩をどう覚えたか?

 人類に文字がなかった時代、あるいは文字はあっても紙がなく、石や木片に文字を刻んでいた時代に、人々は自分たちが得た膨大な知識や歴史をどのように後世に伝えていたのでしょうか?

 日本には語り部といわれる記憶の専門家がいて、古事記などの膨大な物語を一字一句違わず暗唱していました。

 それよりも時代がさかのぼる紀元前8世紀頃の古代ギリシャには、ホメロスという詩人がいて1万6千行にもなる長編詩イリアスを書きました。これを全部上演するには4、5日はかかっただろうと言われます。出演する人はそれをすべて記憶していなければなりませんでした。

記憶術と口承文学の違い

 いろいろな具体的場面が頭に描きやすい物語の記憶は、記憶術の方法とよく似た面があります。それは記憶術も頭に視覚的なイメージを描いて覚える方法だからです。でも、記憶術には決定的に違う技術があります。その技術があるからこそ、記憶術は絵物語だけではなく、政治的・思想的な演説も丸ごと覚えることができるのです。

 この記憶術は、先のホメロスを生んだ古代ギリシャで発明されました。紀元前5~6世紀頃に詩人としてはあまり知られないシモニデスという人がいましたが、この人が歴史に残ったのは、彼の記憶術の方法が大地震の記録と共に残っていたからです。

 シモニデスの方法は、家の中の家具調度品などに番号を振っておき、ここに覚えるべき項目を順番にイメージによって結び付けて記憶するというものでした。

  シモニデスの方法(基礎結合法の原型)を現代風に再現すると

 自分の家の任意の部屋の入り口から順番に、次のようなリストを作っておきます。例えば次のような要領です。順番を絶対に忘れないものなら、道順などどんなものでも大丈夫です。

  ①本棚、②テレビ、③掛け時計、④額絵……
    (以下20個くらい作ると便利)

 覚えるべき項目が、①安藤さん、②斉藤さん、③坂本さん……
だとすると、

 ①本棚―安藤さん、②テレビ―斉藤さん、③掛け時計―坂本さん……

【覚え方】
 本棚の上に安藤さんがよじ登った。
 ②テレビの中から斉藤さんが飛び出した。

 ③掛け時計坂本さんの頭にピョンと飛び乗った。

 …とこんな具合に記憶するわけですね。記憶術の方法はこのように非常に単純ですが、イメージの描き方や結び付け方にノウハウがあり、たくさんの項目を一度に確実に覚えるためには、それなりの練習と上級テクニックが必要です。

〔各ページの内容紹介〕

シモニデスの記憶術―古代ギリシャの奇跡
 記憶術を発明した古代ギリシャ人と、記録に残っている詩人シモニデスの記憶術のエピソードを、その方法と共に紹介しています。

キケロの記憶術―古代ローマに花開いた弁論術
 古代ギリシャから一冊の本によって帝政ローマに伝えられた記憶術は、弁論家キケロなどによって実用的に大きく発展し、後世に伝えられました。

記憶術ルネッサンス/西洋記憶術の盛衰
 西洋の記憶術はローマ帝国での発展の後、中世になって衰退しましたが、ルネッサンスの時代に再び花開き、脚光を浴びました。

体に結び付けて覚える「物覚え秘伝」は江戸時代から?
 明治時代に書かれた記憶術の本に「江戸時代から伝わる物覚え秘伝」が紹介されていましたが、それはワタナベ式記憶術の基礎結合法と同じものでした。

明治に花開いた記憶術の伝道者と「創始者」たち
 日本の記憶術は明治20年代に華々しくブームになり、西洋の翻訳本を含め多くの記憶術本が出版されました。その方法とは…

仏教哲学者・井上円了の記憶術(元祖渡辺式?)
 ワタナベ式記憶術のルーツとされる井上円了(明治の仏教哲学者)の記憶術について、さまざまな角度から紹介しています。

記憶術世界一、石原誠之とある心理学者
 昭和の初期に世界一の記憶術家と謳われた石原誠之という人がいました。この人の恐るべき能力を研究した、当時の心理学者の成果を紹介しています。

円周率暗唱の達人列伝 & 円周率計算の虜になった数学者
 1978年~2006年の円周率暗唱の歴史を振り返り、カナダ人、英国人、インド人、日本人の間で繰り広げるバトルを概観。友寄英哲の8年間ギネス王座を経て、原口證10万ケタ暗唱に至り終結。

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