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暗記、記憶&記憶術用語集2【あ行】
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暗記、記憶&記憶術用語集1 【あ行】

 
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 記憶に関する用語を、初歩的な心理学や大脳生理学など科学的な見地から解説したものです。
 併せて暗記や記憶術に関する用語も加え、読み物としても楽しめるように編集しました。 

アセチルコリン

 自律神経から分泌される神経伝達物質で、筋肉を収縮させる物質。思考、学習、記憶に重要な役割を果たしている。アルツハイマー型認知症や、多くの脳損傷では、アセチルコリンの減少が見られる。

アリストテレス

 古代ギリシャの哲学者で「万学の祖」とも呼ばれた。前384年~前322年。プラトン、ソクラテスと並ぶ西欧の代表的哲学者。イデア論を批判し、経験的方法を重視した。
 記憶に関連してのアリストテレスの貢献は、人間の五感が記憶と深いつながりがあること、中でも視覚が重要であることを見抜いていたことである。記憶の問題に連想の法則を導入したのもアリストテレスだといわれる。

アルツハイマー型認知症

 脳血管性認知症と並んで日本に多い認知症で、アルツハイマー病ともいう。初期症状は記憶障害から始まることが多く、見当識障害、徘徊などが現れる。進行するにつれて高度の知的障害、失語、失認、幻覚、妄想などが現れ、人格が変化する。主な原因は、アミロイドβという物質が脳内に蓄積されることだと考えられているが、まだ有効な治療法はない。

暗記

 文字情報を見ないでも答えられるようになるように、内容をそらんずること。「記憶」は無意識に覚えることも含むが、「暗記」は言葉で表された知識に類するものを、意識して覚える場合にのみ使う。

暗記法

 暗記は、覚えるべき項目あるいは文章を何度も繰り返し唱えることによって記憶するのがふつうだが、それに対して何らかの工夫や技術を加えて覚える方法を暗記法という。世界史暗記法とか、日本史暗記法、宅建暗記法などと使う。
 暗記法の中でも、記憶術は古い歴史と体系だった方法論を持つ、最もすぐれた暗記法である。ただし、記憶術は習得するのにトレーニングが必要となる。

暗唱(暗誦)

 文章などをそらんじて、口に出していうこと。もともとは暗誦の字を用いたが、常用漢字表にないので、暗唱の文字に書き換えられた。暗記との違いは、声に出して記憶を再生することである。

石原誠之(いしはら まさゆき)

 昭和の初期に「世界一の記憶術家」と言われた記憶術のプロ。1934年に鎌田という心理学者が彼を実験的に調べた。それによると石原は50個の数字を80秒、100ケタの数字を174秒で覚えてしまったという。その方法は、数字を2ケタ区切りでことばに変換し、それをなじみの場所に順番にイメージで結びつける方法で、場所づけ法あるいは簡略化して場所法とも呼ばれる。

井上円了(いのうえ えんりょう)

 明治の仏教哲学者。1958~1919年。哲学館(のちの東洋大学)を設立し、妖怪博士としても有名。ヨーロッパの記憶術を研究し、学生たちを実験台にして記憶術を「考案」。1894年に「記憶術講義」を彼の講述で出版する。同時期に、欧米の翻訳本を含めて二十数冊の記憶術本が出版されている。

意味記憶

 1966年、キリアンという心理学者が提唱したもので、学習して覚える記憶のことをいう。たとえば、「猫は英語でcatという」とか、「でんぷんは最終的にはブドウ糖に分解される」などのような知識が意味記憶である。これに対して、体験に基づく記憶をエピソード記憶という。

イメージ

 心に描き出す図形や映像、情景、印象などのことをいう。「イメージを浮かべる」「イメージ・アップを図る」などのように使う。記憶術では、ことばを実際の形を伴った映像(画像)として頭に描くことをいう。抽象的な単語も含めて、あらゆる暗記項目は視覚的にイメージ化して覚えるのが、記憶術の特長である。

インパクト

 衝突。強い印象。「強いインパクトを与える」などと使う。心理的にインパクトの強い出来事ほど、長期にわたって記憶される。記憶術はこのことを利用し、頭の中に人為的にインパクトの強いイメージを描いて覚える技術である。

右脳

 大脳は右半球と左半球に分かれており、真ん中に両者をつなぐ脳梁(のうりょう)がある。右と左では役割が異なり、右脳では図形・映像の認識や空間の認識、イメージの記憶、美術・音楽などをつかさどっている。一方、左脳では言語、計算などを受け持つ。記憶術はイメージや連想力を利用するものであり、右脳を意識的に左脳に関連づけて利用する技術である。

英単語記憶法

 広い意味では、英単語学習のさまざまな技法全般のことを指すが、狭い意味では語呂合わせを使った記憶法のことをいう。英語の発音から連想される日本語をつなぎ合わせて、うまく意味を引っ掛ける方法だが、自分で作るにはダジャレのセンスがいる。
 たとえば、「cemetery : 墓地」を覚えるなら、「墓地セミ取りに行った」とすると何度も復習することなく、一発で覚えられる。ただし、正しい発音には注意する必要がある。記憶術では、実際に頭の中に「墓地でセミ取りをする光景」を描くことで、より強力に脳にインプットできる。

エピソード記憶

 体験に基づく記憶のことをいう。1972年に心理学者のタルヴィングが、勉強することで覚える「意味記憶」と対になる記憶として、この分類法を提唱した。エピソード記憶は、たとえば運動会や家族旅行、初恋、病気など、個人的に体験した出来事の記憶である。3歳頃から現れる能力であるため、それ以前の体験は覚えていないのが普通である。
 意味記憶とくらべて一度記憶されたら忘れにくい特長があり、記憶術はそうしたエピソード記憶の性質を利用している。

エビングハウス

 人間の脳は忘れるように設計されているということを研究した、19世紀のドイツの実験心理学者。エビングハウスは意味のないアルファベットを被験者にたくさん覚えさせて、その記憶が忘れていくスピードを調査した。その結果、20分後には完全に記憶したうちの42%を忘れ、1時間後には56%、9時間後には64%忘れるというデータを得た。これをグラフにしたのが有名な「エビングハウスの忘却曲線」である。心理学では、記憶よりも先に忘却の研究が進んだ。

円周率記憶法

 ゴロ合わせの覚え方としては、「産医師異国に向こう、産後厄なく産児御社(みやしろ)に虫さんざん闇に鳴く」が有名(細部が異なるものもある)。これで小数点以下30ケタ。
 記憶術では、ケタ数の多い数字を覚える場合、数字を2ケタずつ区切って意味のある言葉に変換し、その単語をあらかじめ用意した絶対に忘れない道順などに結びつけるのが一般的な方法である。この方法なら、語呂合わせの労力は不要になる。
 ただし、記憶術の一般的な数字記憶法では数千ケタ以上になると苦しくなるので、2ケタ区切りではなく10ケタに区切って語呂合わせの短い句を作る方法が考えられた。意味ある語呂合わせ文作りに、時間と工夫が必要になるが、大量に覚える道を開いた。
 10ケタ区切りにこだわらず、さらに長い語呂合わせ文を作り、壮大なストーリーを作る方法もある。こうなると記憶術の技術以前に、語呂合わせストーリー作成の才能が要求される。


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