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記憶術世界一、石原誠之と心理学者

数字記憶、世界一の変遷

 
 歴史の舞台は昭和の初期に移ります。70年以上も前の日本に、世界一の記憶術家と謳われた石原誠之という人物がいました。

 当時の記憶術の世界では、数字を覚える技術はまだレベルが低かったらしく、ドイツのリュクレという人の504ケタという記録が世界一だったのですが、石原誠之はこの記録を軽々と超えて、何と2400ケタの数字を覚えてしまったのです。

 ちなみに昭和53年にはカナダの少年が円周率8750ケタの暗唱に成功しており、その後、円周率をめぐって数字の暗唱に特化した記憶術が急速に発展することになります。 そして、暗唱記録が2万ケタを超えたあたりから、円周率に関しては日本人の独壇場となり、4万ケタ、5万ケタを超えて、ついに円周率暗唱競争に終止符を打つ、奇跡の10万ケタが達成が、ある日本人によってなされるのです。 ※詳しくは⇒円周率暗唱の歴史(&円周率計算に魅せられた人たち)

記憶術家の頭に興味を持った心理学者

 昭和の初期の円周率暗唱能力は、現在の記録水準からは比べようもありませんが、円周率は覚える時間が無制限にありますし、あらかじめ数字が分かっています。しかし、数分間という短い時間で与えられた数字を何ケタ覚えられるかという実験では、石原誠之は当時だけでなく、現代の感覚でも驚異的な記録を残しています。

 記憶術というものがあまり知られていなかった当時、こんな人間の頭の中を調べてみたいという人が現れても、不思議はありません。

 山下富美代著「集中力」(講談社現代新書)によると、1934年に鎌田という心理学者が石原誠之の記憶術について実験的に調べたものがあります。それによると、石原は50個の数字を80秒、100個の数字を174秒で覚えてしまったといいます。さらに204個の数字を5分54秒かけて記憶し、それを3分30秒で再生したとあります。

 心理学者の実験記録には、そのやり方も詳細に述べられていますが、その一部を前述の山下氏の本から引用させていただきます.。  ※原文は縦書きなので、漢数字を算用数字に変えています。

  たとえば、742769……は、図22に示すように(図は省略)、74=ナシ、27=フナ、69=ムギ……とコード化し、「ナシの木が実家のそばの畑に立っている」「家のそばの小川に泳いでいるフナ」「母屋の前のムギの積み重ね」……というように、イメージ化した場所に各項目を配置し、記憶していくのである。

 これは場所づけ法または場所法(渡辺式では基礎結合法)と呼ばれるもので、絶対に順番を忘れないものに、ゴロ合わせなどで言葉に変換した数字を結びつけて覚える技法です。

 なお、数字を具象的な言葉に変換する方法は国によってさまざまです。日本でもゴロ合わせないし五十音変換を基本にいろいろアレンジしたものが使われていますが、記憶術としての基本原理はすべて上の方法と同じものです。

 最後に、心理学が記憶術という学問の対象になりづらいものを真正面から採り上げたことは、大いに評価すべきだと思います。また、その古い研究を集中力というテーマの中で詳細に紹介した山下氏にも拍手喝采です。

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