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シモニデスの記憶術―古代ギリシャ

記憶術の発明は古代ギリシャ人

 
 記憶術はいまや全世界に広まっていますが、もともとはヨーロッパで発展してきたものです。今日、日本で「〇〇式」と称している記憶術は、欧米から伝わり日本で発展したものを自分の使いやすいようにアレンジしたにすぎません。

 記憶術は英語で "mnemonics" といいますが、その語源はギリシャ神話に登場するニーモシュネ(Mnemosyne)という女神に由来します。ニーモシュネはあらゆる分野の知的活動を司る9人の女神たちの母であり、過去、現在、未来のすべてを記憶していたといわれる女神です。

 このことからも記憶術がギリシャで生まれたことは容易に想像がつきますが、実際、記憶術に関して歴史に残る最古の記述は古代ギリシャに関するものでした。

 紀元前5~6世紀のギリシャにシモニデスという抒情詩人がいました。シモニデスは後にヨーロッパで「記憶トレーニングの父」と呼ばれるようになりましたが、それは彼が大地震に遭い、九死に一生を得たあるエピソードが後世に伝わったからです。それは次のようなものでした。

大地震でわかったシモニデスの記憶法

 ケオス島の抒情詩人シモニデスはある日、宴会に出て演説を終えたあと、ちょっと席を外しました。二人の男が外で待っているという伝言があったからです。ところが彼が外に出てみると誰もいません。その直後、突然地面が激しく揺れて建物が崩壊、中にいる宴会の出席者たちは一人残らず死んでしまいました。

 地震が治まったあと、瓦礫(がれき)の下から見つかった遺体は無残なものでした。あまりに損傷が激しいため、家族でも見分けがつかないほどです。

 ところがシモニデスは、出席者の席順をひとり残らず正確に覚えていたのです。彼は、柱や調度品、テーブルや椅子の配置に、一人ひとりの名前を独特の方法で結びつけて覚えていたのでした。この方法こそは後にギリシャから古代ローマへと伝わり、後世のヨーロッパ各地へと伝わった記憶術の原形だったのです。

 シモニデスのエピソードにはおまけがついていて、人々は双子の神が彼を呼び出して救ったのだとうわさをしました。古代ギリシャ人は自らの手で記憶術の本を遺しませんでしたから、「双子の神のお陰」でギリシャの記憶術が後世に伝わったといえるわけです。

     ◇          ◇          ◇

 なお、欧米の記憶術の解説書をひも解くと、このシモニデスのエピソードはよく載っています。また、明治時代に和田守菊次郎という人が書いた記憶術の本や、昭和50年に出版された渡辺剛彰著「実用に役立つ記憶術」にも、シモニデスのことが書かれています。

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