立場をあべこべにすると面白い/技法③
人間が犬にかみつくと
ニュースになる
「犬が人間にかみついてもニュースにならないが、人間が犬にかみつくとニュースになる」という話を聞いたことはありませんか? ニュース価値についての有名なたとえ話ですが、これはそのまま記憶術にも当てはまります。別の例でやってみましょう。
①ネコがネズミを追いかけた。
②ネズミがネコを追いかけた。
どちらがニュース性があるか、言うまでもありませんね。動物番組でネコとネズミが仲良しの場面は見たことがありますが、ネズミがネコを追いかける映像なんて見たことがありません。だからこそ、記憶術ではそうした「あべこべの立場」を想定することに意味があるのです。
それでは「常識をあべこべにするとインパクトが強くなる例題」にチャレンジしていただきます。
例題5 2つの立場を逆転させたイメージを作ってください。 ①ライオン ― シマウマ ②カエル ― ヘビ ③チンパンジー ― 自転車 ④サンドバック ― ボクサー ⑤みそ汁 ― お椀(わん) ⑥花びん ― 棚(たな) |
あまりにも簡単な例題ですが、念のために解答例を示しておきます。
例題5のイメージ例
①ライオン ― シマウマ
ライオンがシマウマに襲(おそ)われた。
②カエル ― ヘビ
カエルがヘビを飲み込んだ。
③チンパンジー ― 自転車
チンパンジーが自転車を担いで走っている。
④サンドバック ― ボクサー
サンドバックがボクサーをノックアウトした。
⑤みそ汁 ― お椀
みそ汁の中にお椀を浮かべた。
⑥花びん ― 棚
花びんの上に棚をのせた。
以上ですが、最初から「あべこべのイメージ」と分かっていればやさしい問題も、さまざまなパターンがある中から選択する場合は、思いつかないこともあるかもしれません。連結パターンの一つとして覚えておくと便利です。
次に、強いイメージ連結をするための技法を〔公式〕としてまとめておきます。
イメージ強化の公式〔まとめ〕●小さなものは思い切り大きくする●巨大すぎるものは、小さくしたほうがよい場合もある ●イメージは時間と空間を自由自在に超えられる ●動物や物は擬人化すると、生き生きしたイメージになる ●喜怒哀楽の感情をこめると記憶がさらに強化される ●常識をあべこべにすると、インパクトが強くなる |
ただし、あまり理屈だけで考えないように。「自由にイメージを描いた結果が、上のイメージ公式に合致していた」という状態がいちばんよいのです。
そのためには練習を積み重ねながら、覚えらなかった項目については、必ずイメージが弱かった原因をチェックしてください。それを繰り返しているうちに、あなたの発想力や想像力は確実に豊かになっていくでしょう。