囲碁・将棋は読み・ひらめき・判断力を
鍛える
そこで、「自分に向いているのは囲碁・将棋のどちらか?」という観点から、お話を進めようと思います。
将棋は「理系」、囲碁は「文系・理系・芸術系」?
このコーナーを担当している筆者は、囲碁・将棋共に有段者ですから、両者を公平に見ることができるつもりですが、どちらを面白いと思うか、あるいは自分に向いていると思うかは、その人の性格や得意分野によるように思います。まず、その人の脳の特性から大胆に決めつければ、将棋が理系的なのに対して、囲碁は文系、理系、芸術系に偏らず、多様性が見られます。これは将棋のほうが理詰めの読みが勝敗を決することが多く、一手一手が勝敗に直結する厳しさを持つのに対して、囲碁には茫洋としたところがあって、感覚的要素が多いということが影響していると考えられます。
筆者は学生時代に、囲碁部と将棋部が共同で使っている部室に何度か顔を出したことがありますが、将棋部は、理工系の学部や教育学部の数学・理科を専攻した人が大半を占めていたのに対して、囲碁部員の専攻はバラエティに富んでいた記憶があります。
また、性格的には意外にも将棋のほうがすぐに打ち解けやすく、自分をさらけ出すまでが早い感じがしました。囲碁は良くいえば紳士的ですが、初めのうちは冷たい印象を受けます。性格というよりは、ゲームの特性がそうさせるのかもしれません。
将棋はホット、囲碁はクールな面が表に出やすいのでしょう。そうしたことは勝負に負けた時の悔しさの違いにも表れます。将棋は王が詰まされると非常に悔しいものですが、囲碁は地の大きさ(量)を競うゲームですから、将棋ほどには悔しくありません。不思議なものです。囲碁の形勢は級位者レベルではわかりづらく、終局して地を数えるまでどちらが勝っているかわからない、ということもよくあります。勝負所から勝敗がはっきりするまでの間に、頭を冷やす時間があるのですね。
図形的記憶力や集中力、戦略的な思考力を養う
かつて、脳トレといえば判で押したように「右脳強化」が叫ばれていましたが、今では「左脳強化」や「前頭葉強化」も大事だという風潮になり、「認知症対策」としてのトレーニング教材も人気を集めています。でも、囲碁と将棋はそれらすべての要素を持つ上に、その効果も絶大です。右脳とか左脳というように、大脳の一部を強化するのではなく、常に脳を総合的に使っていくゲームだからです。囲碁・将棋が脳トレ教材や各種の勉強と根本的に違うのは、生身の人間と頭脳を戦わせるということです。つまり、あらかじめ用意された教材でトレーニングするのではなく、お互いに相手の意図を推し量りつつ、未知の領域へ向かって一手一手、決断を繰り返しながら進んで行くわけです。その意味ではとりわけ、意欲や工夫などを司る、前頭葉を鍛える脳トレだといえるでしょう。
囲碁のことを別名「手談」といいますが、これは手(着手)によって、碁盤上で相手と会話をするというような意味からきています。もちろん、その意味では将棋でも、指された駒が強いメッセージを相手に送っていますから「手談」と呼べないこともありませんが、将棋の厳しさがそう呼ぶことをためらわせるのでしょう。
こうして盤上で碁石や駒が「会話」を交わす中で、まずは図形・空間な記憶力が磨かれ、集中力や客観的に物事を見る習慣、さらにセオリーに沿った思考法や戦略的な思考能力などが身につくことが、囲碁・将棋を楽しむ効果です。そして、棋力の向上に伴ってその面白さはさらに増していきます。
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