記憶力が弱い、暗記が苦手…という方へ
生まれたときは誰でも記憶の天才です
高山 瞭(たかやまあきら)
暗記がちょっと苦手…という方は、それを記憶力と結びつけて考えがちです。
でも、人間の生まれつきの記憶力にはそれほど差はありません。誰でも幼児期は記憶の天才です。文法を教えないのに皆、正しい日本語を身につけ、自然にしゃべれるようになります。掛け算九九だって、ほとんど意味のない呪文のようなものにもかかわらず、しっかり覚えています。
では、なぜ教科書や参考書などの暗記能力に差がつくのでしょうか?
実は、中学に入る頃から、幼児期に発揮した機械的な単純記憶力は衰えていきます。意味もわからず何でも覚えられる時代は長くは続かないのです。その代わりに理解力が発達して、衰えた単純記憶力をカバーするようになります。理解できないことや無意味なことを覚えるのは、歳とともに難しくなります。何のつながりもない数字やアルファベットの羅列は、意味のある単語を覚えるのに比べて数倍、いや数十倍も努力が必要なはずです。人間の脳は、意味のないことはすぐに忘れるように設計されているのです。
そこで、物事を覚えるにはその内容や背景をしっかり理解し、関係あるものと一緒に覚えるのがよいということになります。
記憶力のカギを握るのは好奇心と集中力
では、集中力はどこから生まれるのでしょうか?
いちばんのポイントは、その話題(内容)にどれだけ関心を強く持っているか、ということです。興味のないことには集中できませんから、頭が働かなくなります。逆に、知的好奇心を強く持てば集中力が発揮できますから、理解力と記憶力をグ~ンと高めることができます。
勉強が苦手な人でも、大好きな歌手やタレント、あるいはゲームやアニメのキャラクターの名前や特徴はすぐに覚えてしまいますね。でも興味のないものは何度見ても覚えられません。学校の勉強が覚えられないのは、記憶力が弱いからではなく、興味の度合いが弱いため集中できないからです。
集中力とは凸レンズのようなもの
集中力を「生まれつきの能力」だと思っている方もいるようですが、まったく違います。集中力はむしろ心の問題、たとえて言えば凸レンズのようなものです。太陽の光を凸レンズで集めると、焦点に当たるところが燃え出しますね。その焦点が好奇心の対象となるものです。誰でも、心に凸レンズという集中力を持っています。その集中力が発揮できるのは好奇心を焦点に集めたときです。どんなことにも好奇心が持てる人は、努力しなくても対象に集中力が向きます。だから、物事の仕組みや社会の仕組み、歴史、地理など様々なことに知的好奇心を持つことができれば、理解力がフル回転し、一つ一つの言葉が脳に強く焼き付けられるでしょう。
ここまでのまとめ
①人間の単純記憶力にはたいした違いはない。 ②人間の脳は忘れるように設計されている。 ③理解力が記憶を助ける。 ④関心を強く持つと、記憶力・暗記力も強くなる。 ⑤大好きなことには集中でき、努力を喜びと感じる脳の働きがある。 |
理解力と知的好奇心が足りない方のための
〔暗記能力=倍々増〕の勉強法とは…
暗記能力は記憶力の差というより、理解力や好奇心、集中力の差だということが納得できたでしょうか。でも、勉強が面白くなるなんて、想像できないよね。
好奇心が持てない科目や単元はどうするの?
程度の差こそあれ、そうした面は誰でも持っていると思います。
確かに、好奇心というものは心の奥底の問題だから、自分で自由にコントロールできるとは限りません。「興味がないんだから、しょうがないじゃない」と言われてしまえば、それまでです。
でも、内容が興味ないものでも、覚え方が面白ければどうでしょうか。
たとえば、電話番号や車のナンバーなどに使われる4ケタの数字を覚えるのは無味乾燥で、面白くもなんともありませんね。ところが、ゴロ合わせで覚えようとすると、急に面白くなります。たとえば、次の数字のゴロ合わせを考えてみてください。
8139 7974 4122 3153
うまいゴロ合わせが見つかりそうものを選んだので、慣れない人でもぱっと思いつくと思いますが、いかがですか。けっこう楽しめるでしょう?
参考までに、ゴロ合わせの一例を挙げれば、順番に
はいサンキュー 泣くなよ よい夫婦 最高さ
となりますが、同じゴロ合わせを考えた人も多いと思います。
数字や記号は、意味のある言葉に変えることによって、何十倍も覚えやすくなリす。しかも、ゴロ合わせを考えるのは、ゲーム感覚なので面白いものです。まるで遊んでいるように勉強する。それが、記憶脳を活性化させるコツです。
このように覚え方を面白く工夫することによって、より速く確実に覚えられるようにする技術は、広い意味で「記憶術」と呼ばれています。
ゴロ合わせも記憶術の重要な手法の一つですが、本来「記憶術(Mnemonics)」というときには、「視覚的なイメージや連想力を利用して覚える技術」のことを指します。単純なゴロ合わせよりはるかに奥深く、効果も高いのです。
メッセージ2:イメージ公式で記憶術が簡単に身につきます
記憶術がどんな技術かを知りたいなら⇒【記憶術の方法】ガイド
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