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数字暗記は2ケタ区切り。イメージ化して覚える
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数字暗記は2ケタ区切り。イメージ化して覚える

 

 数字は量を表す記号ですが、それ自体に意味がないので、言葉に比べて覚えづらいのが特徴です。たとえば、8桁の数字と「東京都の電話番号」という8文字を覚えるのとの違いを考えればわかります。言葉は瞬時に意味がわかりますから、覚えるのは簡単です。でも、乱数表から任意の数列を抜粋した次の数字はどうでしょうか?

 57583471 

 この数字を覚えるとき、ほとんどの人は「ゴーナナゴーハチ、サンヨンナナイチ」と頭の中で唱えるのではないでしょうか。長音を除いても14文字になる無意味な音節の配列は、一度唱えただけでは覚えきれない人もいるかもしれません。

 もう少し利口な方法として、「ゴナゴヤサシナイ」とすれば、情報量は半分近くに減り、覚えやすくなります。しかし、これでも意味のない呪文であることには変わりなく、数秒の瞬間記憶はできても、1時間後、あるいは翌朝まで記憶を持続(長期記憶)させるためには、相当の繰り返しが必要になります。

 なお瞬間記憶に限れば、珠算の暗算の達人にとっては、零点何秒かで10桁くらいの数字を頭に映像として焼き付けることは、難しいことではないようです。

 しかし、いずれの場合も長期記憶となると、別の方法で暗記するしかありません。そこで、たいていの方が語呂合わせで覚えようとするのではないでしょうか。

数字語呂合わせは運とアイデア力次第

 上の数字で語呂合わせを試みると次のようなものが考えられます。

 57583471=「小女子(こうなご)破産しない」
 あるいはもう2案…「G0!名古屋さん市内」 「イナゴや、見よ、ない」

 どれも意味的に苦しく、「√3=人並みにおごれや」レベルの傑作は望むべくもありません。しかも、桁数が多くなるにつれて、奇妙キテレツな日本語を暗記する労力が増えることになります。

 このように、電話番号などを語呂合わせで覚えようとしても、いつもうまくいくとは限りません。創造力豊かな知恵とともに、多少の運が必要になるからです。上の数字の配列はさほど運のいい配列とはいえないようです。

 結論として、語呂合わせ法は数字記憶にある程度有効ですが、運とアイデア力に左右されるという意味では、効率のよい記憶法とはいえません。

 そこで次に、記憶術による数字記憶法を見ていくことにしましょう。記憶術では、語呂合わせの限界を「イメージを連結する方法」によって見事に解決しています。

〔語呂合わせ+イメージ連結法〕なら忘れない

 記憶術では、語呂合わせもテクニックのひとつとして使いますが、それは記憶術のほんの一部に過ぎません。記憶術が普通の記憶法と決定的に異なるのは、イメージや連想力を利用することです。ここでは、誰もが自然に身につけている数字語呂合わせ法をそのまま使って、記憶術に応用する方法を公開します。

テクニック1 数字は2桁ずつイメージ化する

 数字の語呂合わせは桁数が多くなるにつれて、自然で覚えやすい日本語を作るのが難しくなります。そこで、記憶術では数字を思い切って2桁ずつ区切ります。2桁ならどんな数字の配列でも簡単にやさしい単語が頭に浮かびます。

 たとえば、先ほどの8桁の数字は、次のような4つの単語の配列となります。

 57583471 ⇒ 57・58・34・71
           (粉・小屋・刺身・ナイフ)

テクニック2 イメージ変換した単語同士を連結してストーリーを作る

 イメージ化した単語(粉・小屋・刺身・ナイフ)は、このままでも自然に覚えられるかもしれませんが、記憶術ではこれを順番に連結してストーリーを作り、頭に焼きつけます。たとえば、上の4単語を記憶術の手法でストーリー化すると、次のようなイメージになります。

①(大量の)小屋に降り注いだ。
小屋の中には、(巨大な)刺身が横たわっている。
③(巨大な)刺身ナイフで切り裂いた。

 イメージは「記憶術講座①」で解説してきたように、できるだけ派手に、現実にはありえない光景として頭に描くのがコツです。

テクニック3 桁数が多い場合は「順番を絶対に忘れないリスト」に結びつける

 テクニック2ではクサリのようにイメージを連結しましたが、桁数が多い場合は、あらかじめ用意した「順番を絶対に忘れないリスト」にひとつずつイメージ同士を結びつけて覚えます。
 〔参考〕基礎結合法 記憶術講座③基礎結合法の習得

 そのリストでは多くの場合、場所や道順が利用されます。たとえば次のようなものです。

①自宅の玄関 ②犬小屋 ③花壇 ④門 ⑤生垣 ⑥お隣さん …

 このテクニックは、数字記憶法に限らず、記憶術では最も重要な方法です。リストの作り方、リストの迅速かつ確実な覚え方、リストの増やし方などにもそれなりの技術があります。

 なお、一般的な語呂合わせによる数字のイメージ化は、2桁なら誰でも何とかできると思いますが、その選択肢は少なく、常に同じ単語(イメージ)が登場するという欠点があります。

 本格的な記憶術とするには、イメージの混同を避けるために、数字のイメージ変換に工夫が必要となります。

五十音式数字変換法(渡辺式)もスグレモノ

 そこで、まずワタナベ式記憶術で採用している、五十音式数字変換法を紹介しましょう。数字の1、2、3…を、あ行、か行、さ行…に順番に当てはめていく単純なもので、欧米式の子音置換法(後述)の機械的な援用ともいえるものです。

わ・ん あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行
 ※濁音、半濁音は点やマルを取った文字に還元します(が→か、ぱ→は)

 この方式の長所は、理論的で、理解するだけで覚えられることです。

 とはいえ、瞬時に数字を言葉に変換する場合、人によっては5~7(な行からま行)がスムーズに行かないこともあるかもしれません。反応を早くするためには、多少のトレーニングが必要となります。理論的であるが故の短所といえるでしょう。

 実際の運用法

 11=アイロン  47=タマゴ  92=ラクダ
 9247(イメージ例)=ラクダのこぶに大きなタマゴをかぶせた

 以上、一般的な語呂合わせ法とワタナベ式・五十音法を紹介しましたが、使える単語のバリエーションに多少の難点があります。そこで、どちらを選ぶにしても、造語力が高まる工夫を凝らした「改良版」を次のページに用意しました。
   続・数字記憶術|改良版「五十音式」と「語呂合わせ式」

 なお、記憶術の先進国である欧米でも当然ながら、数字をアルファベットに変換して単語をつくり、イメージ化して覚える方法を採っています。子音置換法と言われるもので、似た発音や形など様々な発想でつくられています。参考までに次に紹介しますので、興味ある方はご覧ください。

欧米の数字記憶術「子音置換法」の概略

 欧米では、子音置換法と呼ばれる、数字をアルファベットに変換する方法が一般的にとられています。

s,z,c t,d n m r l sh,ch,j,g k,c,g,ng f,v,w p,b

 数字の変換ルールは日本人には一見してわかりづらいのですが、注意深く見ると、覚えやすさと造語力の両面から考えられており、きわめて合理的なものです。

 たとえば、0(零)はZEROですが、スペイン語、イタリア語ではZがSの発音になるため、Sが加わり、さらに同じSの発音をする場合のCも仲間に入っています。
 ちなみに、7のCはKの発音になる場合に使います。また、6のGはJの発音、7のGはGodのGです。
 文字の形から連想されるものには、t と d=一本足、n=二本足、m=三本足があります。9が p, bになるのも説明不要でしょう。

実際の運用法

 母音を無視してイメージしやすい単語を作ります。たとえば、
「14=deer」「92=piano 」というような要領です。

 なお、上の表は主に英語圏で使われるもので、言語が変わると子音の発音や数字を表す単語そのものが大きく変わることもあるため、細かい部分では若干変わってきます。

 また、記憶力世界選手権の優勝者の中には、子音置換法とはまったく異なる独自のシステムを提唱している人もいます。「1=A」「2=B」「3=C」…「6=S」…「0=O」などとする方法で、2桁区切りのイメージ変換に歴史上の人物や有名人(イニシャル)を当てています。いずれの場合も、ある程度のトレーニングを積まないと、実用レベルにならないことは言うまでもありません。
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