連想力を高めるトレーニング方法
脳を活性化し、記憶術の習得を早めるイメージ連想
記憶術はそうした連想の力を利用する技術です。したがって、連想力の豊かな人は、そうでない人に比べて記憶術を習得するのが早いでしょう。ただし、連想力はちょっとしたコツとトレーニングによってたちまち向上しますから、ご心配はいりません。このレッスンでは連想力をつけるトレーニング法を学びます。
「惑星型」と「クサリ型」
連想トレーニングには2種類のやり方があります。その第一は、一つの単語から連想されるたくさんの単語を書き出すことです。これを「惑星型」とでも呼んでおきましょう。もう一つは、一つの単語からスタートして、次から次へと連想をつなげていく方法です。連想が一本道でつながっていくこの方法は、「クサリ型」と呼ぶことにします。それぞれの方法を「お正月」というキーワードで図式化すると、次のようになります。
惑星型

クサリ型

惑星型連想の注意点と例題
一つの単語からできるだけたくさんのイメージを書き出す方法は、発想法の一つとして有力な方法です。たとえば商品企画や広告、デザイン、研究開発などの部門では、頭をやわらかくするウォーミングアップとして有効です。そして、時には突飛な連想の中から、新しアイデアにたどり着くこともあります。アイデアは浮かぶのを待つのではなく、能動的に「連想の旅」に出ることから生まれるのです。惑星型連想のトレーニングでは、単語を数個書き出した段階で行き詰ってしまうことがあります。これは、一つの連想回路から抜け出せず、思考が堂々巡りするからです。
たとえば、「夏」という単語が与えられたとしましょう。すると多くの人は次のような単語を真っ先に浮かべるでしょう。
プール、海水浴、水着、サーフィン、波……
そして、この辺から単語の出るまでの時間がかかり、もたつき始めます。原因は、「夏=水泳」という最初のイメージに脳が縛られているからです。そんなときには、「水辺」から舞台を移すという方法があります。例えば、家の中、街、高原、イベント、ファッション、食べ物、日用品・雑貨、動植物…という要領で視点をずらしていくと、連想力は最初の勢いを取り戻します。
それでは「夏」の連想を続けましょう。
入道雲、夕立、雷、クーラー、扇風機、アイスクリーム、かき氷、夏祭り、七夕、お盆、スイカ、カブトムシ、夏休みの宿題、高校野球、終戦記念日、セミ、原爆、沖縄、ヨット、日焼け止めクリーム、避暑地、高山植物、浴衣、扇子、うちわ、風鈴 …(以下略)
〔例題〕 次の言葉から、できる限りたくさんの言葉を連想し、紙に書いてください。(制限時間時間=1単語につき3分) ①冬 ②自動車 ③運動会 ④アメリカ |
クサリ型連想の注意点と例題
クサリ型の連想は、いくつか連想される言葉の中から一つだけ選んで進みますから、イメージが最初の単語からどんどん遠ざかっていくのが特徴です。例えば、上の「正月」では「門松―竹―竹とんぼ―プロペラ―飛行機」となって、正月とは全くつながりのない単語にたどり着いています。しかし、うっかりすると似たようなグループの言葉から抜け出られないこともあります。例えば、「そば」から出発して、「そば屋―うどん―和食―天ぷらそば」などとやってしまうケースです。このようにイメージが閉じられてしまうのを防ぐには、並列の連想から方向を変える方法があります。
「そば」を例にすると、
そば ― 天ぷら ― 油 ― 汗 ― スポーツ
という要領です。そばの相棒である「天ぷら」、天ぷらを作るための「油」、そして油から横滑りして「脂汗」と進めば、次に「スポーツ」という広々とした世界に脱出することができます。惑星型連想と同様に、「舞台を移す」「視点をずらす」という方法が、閉じられたイメージから脱出するテクニックとなるのです。
連想力の豊かさは資質や才能の問題ではなく、慣れの問題であり、テクニックやトレーニングによって別人のように能力を伸ばすことができます。
〔例題〕 次の単語を出発点として、クサリのように連想を繰り返しながら、順番に10単語ほど書き出してください。それぞれにかかった秒数を記録すると意欲がわき、進歩の跡も分かります。 ①ケーキ ②富士山 ③テレビ ④卓球 ⑤裁判所 |
以上で「入門・基礎講座」の解説を終わります。
・次は 記憶術講座① イメージ結合法の技術で本格的な練習に入ります。
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